ラボグロウンダイヤモンドのカットの種類について

ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと同様に様々なカットがあります。最も代表的な丸い形のラウンドブリリアントカットや、ファンシーカットと呼ばれる変形カットなど様々なバリエーションがあります。ジュエリーのデザインに合わせてカットを選んだり、ファンシーカットの輝きの違いを楽しんだり、選び方は多種多様です。

 カットは、ダイヤモンドの品質(4C)の中で唯一人間が関与する部分で、カットにより輝きを引き出すことはもちろん、歩留まりと呼ばれる原石から最大限の大きさの石をカットすることも研磨師の腕の見せ所です。
カットはスタイルとメイクに分けられ、より専門的な意味合いが持たれています。スタイルとは、ファセット(面)や基本的なパターン(配置)を意味しています。メイクとは、プロポーションとフィニッシュを指し、理想とされる光学的な寸法や研磨状態などを意味しています。 また、シェイプと呼ばれる輪郭の形状を指す言葉もあり、例えばラウンドシェイプやオーバルシェイプなど、輪郭の形の後にシェイプを付けて石の形状を呼ぶ際に使われます。

 それでは、ラボグロウンダイヤモンドのカットにはどのような種類があるのでしょうか。以下よりジュエリーを購入する際の選択肢として、ラボグロウンダイヤモンドの一般的なカットについて詳しくご説明いたします。

1. 最も代表的なカット「ラウンドブリリアントカット」

ラウンドブリリアントカット(英語表記:Round Brilliant Cut)とは、数あるダイヤモンドカットの中で最も認知されているカットです。ラボグロウンダイヤモンドに関しても、最も流通量が多いカットです。また、単にブリリアントカットと呼ばれることもあります。

このカットのルーツは、ダイヤモンド研磨生産国として有名なベルギーの研磨師が、ラウンドブリリアントの基本設計を1919年に発表。その後改良を重ね、約100年に渡り世界で最も流通しているカットです。ダイヤモンドのカットは、1500年代より研磨の本格的な試みがはじまり、ラウンドブリリアントカットの発明前は、同じラウンド形状のローズカットやシングルカット(17面)が一般的でした。 ラウンドブリリアントカットは、下記図の通り、58(キューレットがない場合は57)の面(ファセット)がある丸い形のダイヤモンドです。

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ラウンドブリリアントカットは、光学特性上、理想とされるカットスタイルに基づいて研磨されており、Ideal Cut(アイデアルカット/理想なカット)と称され、ダイヤモンドの中で最も代表的で人気の高いカットです。

2. 代表的なファンシーカットについて

ファンシーカット(英語表記:Fancy Cut)とは、ラウンドブリリアントカットとシングルカットなどの、標準的なラウンド以外の全ての形状のことを言います。
ファンシーカットは、一般的に流通している正方形や楕円形などのシェイプはもちろん、流通量の少ない十字架や星型などユニークなシェイプのものまで様々な形状があります。 名前がついているファンシーカットを全て挙げると数百種類にも及ぶため、ここではラボグロウンダイヤモンドで一般的に流通している代表的なものをご説明いたします。

2-1. ペアシェイプ

 ペアシェイプ ペア(英語表記:Pear)とは、輪郭がペア、つまり洋ナシの形状のブリリアントカットのことです。ファンシーカットの中でも人気の高いカットで、ファッションジュエリーはもちろん、婚約指輪(エンゲージリング)などのジュエリーに好まれています。
ペアシェイプは、下記図の通り58(キューレットがない場合は57)の面(ファセット)がある洋ナシ型のダイヤモンドです。

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ペアは、ふっくらとした丸みとシャープなラインのある上品な輪郭を描く人気のシェイプです。理想的なペアシェイプを購入するために、プロポーションの大切な選び方を2つご紹介いたします。

<選び方1:左右対称の輪郭を選ぶ>

対称性(シンメトリー)は宝石から発する輝きに大きな影響をあたえます。ペアシェイプの対称性を見るためには、中心を軸に左右の輪郭が同様のラインを描いているかを判断します。左右のバランスが取れている対称なものを選びましょう。

<選び方2:整った輪郭を選ぶ>

ペアシェイプは上品なシェイプが特徴なため、整った輪郭のものを選びます。上図の部分名で挙げた、ショルダーが尖っていたり、直線的なウイングになっている石は避けた方が好ましいです。全体的に均等で美しい洋ナシ形を選びましょう。

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※ マーキース、オーバル、ハートのシェイプも上記2つの選び方を参考に、左右対称で整った輪郭の石を選ぶと良いでしょう。

2-2. マーキースカット

マーキース(英語表記:Marquise)とは、細長い楕円状で両端を尖らせた形状のブリリアントカットのことです。婚約指輪(エンゲージリング)はもちろん、ラボグロウンダイヤモンドのペンダントやリングなどのジュエリーに好まれています。

マーキースは、下記図の通り58(キューレットがない場合は57)の面(ファセット)があるダイヤモンドです。

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マーキースは、フランス語で侯爵夫人という意味を持ち、その語源はあの有名なポンパドゥール夫人とされています。フランスのルイ15世の妾として彼女が侯爵の称号をあたえられた際、パリで舟形のダイヤモンドが流行していたことに由来します。凛とした上品さを感じるこのダイヤモンドは、実際のカラット数より大きく見えることも特徴の一つです。

2-3. オーバルカット

オーバル(英語表記:Oval)とは、楕円形状のブリリアントカットのことです。石の輝きがラウンドブリリアントカットに比較的似ており、また同じ重量のラウンドブリリアントカットと比べてオーバルは表面積が大きく、見た目も大きく映るため、指を長く魅せる効果があります。そのため、婚約指輪(エンゲージリング)やラボグロウンのダイヤモンドリングに使用する石として大変人気があります。
オーバルは、下記図の通り58(キューレットがない場合は57)の面(ファセット)があるダイヤモンドです。

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オーバルは、比較的歴史が浅く1800年代後半になってから流通するようになり、2000年代にミレニアムダイヤモンドとして大きなキャンペーンが行われ人気が吹き返しました。

オーバルの石は、かつて世界最大のダイヤモンドであった「コ・イ・ヌール(105ct)」が最も有名です。インドで採掘されたため、インド帝国などの時の王達が所有していましたが、現在ではヴィクトリア女王の王冠にセッティングされ、イギリスのロンドン塔に展示されています。

2-4. プリンセスカット

プリンセス(英語表記:Princess)とは、正方形のカットのことです。ダイヤモンドのカットの歴史は何世紀にも遡ることができますが、このプリンセスカットが開発されたのは1979年と一般的なファンシーカットの中で最も新しいカットです。
王妃(プリンセス)というネーミングの通り、気品に溢れ、輝きのコントラストが美しい魅力的なカットです。

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プリンセスの特徴は、原石から研磨する際にロスが少ないため、1ctあたりの価格が通常のラウンドブリリアントカットと比較してお安くお求めいただけます。 そのため、ラボグロウンダイヤモンドをご予算の中で最大の大きさをお探しの方におススメのカットです。

反面、スクエアの角がとても鋭角でカケ易いため、石をセッティングする際や、ジュエリーを身に着けている時に、ぶつからないように注意する必要があります。

2-5. エメラルドカット

エメラルドカット(英語表記:Emerald Cut)とは、長方形のカットのことです。長方形と言っても四角形ではなく、角を隅切りしているため正確には8角形の輪郭を持っています。ファセットは階段状のステップカットと呼ばれる形状をしており、その輝きはとてもエレガントな表情を持っています。また、ラボグロウンダイヤモンドの透明度を存分に感じられる特徴があります。

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エメラルドカットは、石内部の透き通るような輝きを味わえる魅力的な石ですが、反面、内包物(インクルージョン)があると見え易いため、クラリティ(Clarity)は品質の良いものを選ぶことをおススメします。

2-6. クッションカット

クッション(英語表記:Cushion)とは、角に丸みのある正方形もしくは長方形のカットのことです。その名の通り、ピローのように丸みのある輪郭を持つため、輝きの中に優しく甘さが薫るような魅力的なカットです。
身に着けると、柔らかい印象を与えるため、リングはもちろん様々なラボグロウンダイヤモンドのジュエリーに使用されています。
クッションカットは、オールドマインと呼ばれる18世紀に多用された石にカットを継承しているため、アンティーク調の雰囲気も感じられる人気のカットです。

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クッションカットは、正方形と長方形の石があるため、購入する際にどちらが自分の好みに合うのか見定めることをおススメいたします。
正方形は縦横比が1:1の角に丸みのある輪郭をしています。対して長方形は縦横比が1.2~1.5:1と色々な寸法があります。

2-7. ハートシェイプ

ハート(英語表記:Heart)とは、その名の通りハート型のダイヤモンドのことです。ダイヤモンドの永遠というイメージに完璧な愛の象徴ともいえるハートシェイプのラボグロウンダイヤモンドは注目を集めつつあります。
しかし、ハート型はダイヤモンドでもラボグロウンダイヤモンドでも、ラウンドブリリアントカットと比較してあまり流通していないということをご存じでしょうか?理由は、通常の原石から研磨するとロスが多く、ハート型に適した原石からのみ研磨されるため流通量が少ないという事情があります。
また、石のサイズが小さすぎると美しい輪郭が出にくいため、少なくとも0.5ct以上のカラットを選ぶことをおススメします。

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ハート型のダイヤモンドを選ぶ際は、左右対称で歪みのないもの、またクレフトと呼ばれる真ん中のV字の割れ目から綺麗な曲線を描いている石を選ぶと良いでしょう。

3. 代表的なカット一覧

下図はラボグロウンダイヤモンドの代表的なカットを一覧にした図です。
ラウンドブリリアントカットはもちろん、一般的なファンシーカットのバリーションをご覧いただけます。(ペアシェイプ、ハートシェイプ、オーバル、プリンセス、クッション、エメラルドカット、マーキース)

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